“民主党議員の会派離脱問題は内ゲバでしかない。外から見れば、明らかにバラマキ・既得権護持路線で民主党内は一致している。だから、心底どうでもいいのだが、彼らの宣言文とやらを見ると、民主党に共通する体質が見えてきて面白いので、今回はそれについて書いてみたい。
宣言文では、マニフェストの実現性について何ら反省されることなく、ひたすら菅政権が悪い、執行部が悪いということが書かれている。そして、「本来の民主党への支持の上に比例代表で当選した我々の存在意義すらも打ち消すことになる」 と訴えている。
このような思考回路は、彼らが批判する菅政権とまったく同じものだ。昨年9月の民主党代表選で、菅陣営は「この代表選は、民主党が本当の民主党になれるかの分水嶺だ」 と息巻いていた。そして、ご存じのように、菅政権はマニフェストの綻びや外交(に限らず政治課題全般)の失敗についてまったく反省せず、「ジミンガー(自民党が悪い)」や「コクミンガー(国民が愚民だから悪い)」を繰り返している。
結局のところ、自分が失敗したり、うまくいかなければ、すぐに他人のせいにする。さらに、「本当の私」的な自分探しへと現実逃避をする。そういった体質が、民主党議員には蔓延している。
仮に菅首相が退陣したとしても、「ポスト菅」にそのような民主党議員が就けば、事態は何も変わらない。「ジミンガー」の代表格である前原氏や岡田氏が首相になった場合はもちろんのこと、菅政権を批判している他の民主党議員がなったとしても、政策はすぐに行き詰まるだろう。その先には、「ジミンガー」「コクミンガー」の連呼と、「本当(本来)の民主党」という夢想が続くだけで、国益は再びどんどん損なわれていく。
うっかり権力を握ってしまった「ただ乗り」体質の人たちを満足させるには、まわりがすべてのお膳立てをして、あとはちょっと手を加えるだけで大きな成果が上げられるようにしてあげなければならない。もちろん、失敗はすべて前任者や部下、あるいは顧客のせいであり、成功はすべて「偉大なるあなた様」によるもの、ということになる。
民主党の場合には、潜在成長率も名目成長率も絶好調の状態にして、基礎的財政収支も(バラマキ公約がすぐ実現できるように)20~30兆円の黒字化、外交でも日米関係はもちろんのことすべての周辺国との関係を万全の状態にした上で、「あとはこの書類にサインをしていただくだけで結構です」という状態で政権をお任せしてあげなければならない。鳩山・菅政権が規制強化で生産性を悪化させ、バラマキ公約で基礎的財政収支を最悪にし、外交では日米関係だけでなく周辺国との関係を同時に険悪にしているのも、すべてはお膳立てのできなかった自民党と官僚と国民が悪いのだ。「偉大なる民主党」は、常に正義であり、全知全能でなければならないのである。
……というようなたとえ話が笑えないほど、民主党の「ただ乗り」体質は深刻だと思う。国会対策で民主党がボロボロ なのも、交渉したり妥協したりしながら、着実に物事を進めていくということができない典型的な「ただ乗り」体質だからだ。「ただ乗り」体質の政治家は、本来なら政界から退出していただきたいが、万年野党としてテレビ番組などで威勢のいいことを言うだけならそれほど害もないだろう(与党になりたいなら、最低でも大連立でOJTで経験を積んでからだろう)。甚大な国家的コストがかかった「政権交代」に意味があったとすれば、「ただ乗り」体質の政治家たちをあぶり出せたことではないだろうか(と、せめて思いたい)。
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